特集 周産期の薬物療法 update 2025 新生児編
各論
造血薬
鈴木 俊彦
1
SUZUKI Toshihiko
1
1名古屋大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター
pp.1104-1108
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002292
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はじめに
造血幹細胞は自己複製能と多分化能を有し,骨髄において各種サイトカインや細胞間相互作用の影響を受けながら,血球産生を制御している。この造血機構を補助・強化する薬剤が造血薬であり,その作用機序により2つに大別される。1つは造血前駆細胞に直接作用し,分化・増殖を促すサイトカイン製剤〔エリスロポエチン(EPO)製剤,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤,トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬〕であり,もう1つは造血に不可欠な微量栄養素(鉄,葉酸,ビタミンB12など)である(表)。新生児は造血能が未熟であり,特に早産児では貧血や免疫機能の低下が生じやすいため,造血薬による補助が必要となる場合が多い。

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