特集 これならわかる骨系統疾患とその周辺
各論
低ホスファターゼ症
望月 弘
1,2
MOCHIZUKI Hiroshi
1,2
1大宮ナーシング・ピア
2埼玉県立小児医療センター代謝内分泌科
pp.1646-1649
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001959
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概念・定義
低ホスファターゼ症(hypophosphatasia:HPP)は,全身のアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase:ALP)活性が低下することにより,骨石灰化障害,くる病様骨変化,血清ALP低値などを特徴とする疾患である1)。ALPのサブタイプの組織非特異ALP(tissue-nonspecific alkaline phosphatase:TNSALP)の欠損によって生じ,TNSALPをコードするALPL遺伝子異常により,ALPの酵素活性が低下することで発症する1)。遺伝子変異は各エクソンにみられるが,日本人HPPでは,cDNAの1559番目の塩基Tの欠失による変異(c.1559delT)の頻度が最も高く,翻訳開始点から327番目のフェニルアラニンがロイシンに置換される変異(p.F327L)が2番目に多い2)。常染色体潜性遺伝形式を示す家系が多いが,常染色体顕性遺伝形式を示す家系もある。
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