特集 DOHaDと周産期医療
DOHaD研究の歴史
DOHaD その概念の変遷―過去・現在・未来―
板橋 家頭夫
1
ITABASHI Kazuo
1
1愛正会記念茨城福祉医療センター
pp.1449-1454
発行日 2024年11月10日
Published Date 2024/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001772
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はじめに
過去30年の間に発達生物学・進化生物学を背景に,豊富な前向き臨床データ,実験モデル,そしてその根底にある分子的・発生的メカニズム,最近では遺伝子発現のエピジェネティック制御に関する新たな理解によって,低栄養をはじめとする発育早期の環境因子が後年の慢性の非感染性疾患(non-communicable diseases:NCDs)のリスクを高めるという当初の疫学的証拠が裏づけられるようになった。単に遺伝や生活習慣がNCDsをもたらすとする従来の考え方からのパラダイムシフトは,現在では developmental origins of health and disease(DOHaD)概念として知られている1)。このDOHaD概念は,周産期・小児科領域にのみならず公衆衛生学的分野においても広く認識されつつある。
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