特集 知って得する胎児・新生児の心疾患2024
基礎編
心臓の発生学
古道 一樹
1
KODO Kazuki
1
1東京都立大塚病院小児科
pp.919-923
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001634
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はじめに
先天性心疾患は出生児の約1%にみられ,新生児期および乳児期の主要な死因の一つである。先天性心疾患の病態を理解するためには,正常な心臓の発生に関する知識が不可欠であり,発生の各段階で起こる異常と先天性心疾患の表現型との関係をイメージすることが重要である。心臓は胎生期に機能を獲得する最初の臓器であり,妊娠8週で完全に形成される。体循環と肺循環がそれぞれ確立されるためには,各心房・心室と大血管の正常な結合が形成されなければならないが,その詳細なメカニズムは,近年の分子遺伝学的研究により,過去20年間で飛躍的に蓄積されてきた。本稿では,心臓発生のさまざまなステップ,特に重篤な先天性心疾患の発生に深く関わる心房–心室–大血管の配列と中隔形成のプロセスに焦点を当てる。
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