連載 シリーズ 胎芽の発育と形態形成・7
心臓と血管の発生
塩田 浩平
1,2
1京都大学医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学)
2京都大学医学部附属先天異常標本解析センター
pp.871-873
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902584
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胎芽の栄養とガス交換をつかさどる心臓血管系の原基は,神経系の原基とともに最も早く出現する.胎生第2〜3週に卵黄嚢壁や結合茎(将来の臍帯)の中胚葉内で,さらにやや遅れて胚内中胚葉内で,凝集した中胚葉細胞から血島bloodislandが発生する(図1,2).血島の壁にあたる細胞が血管内皮細胞に,内部へ落ち込んだ細胞が血球芽細胞hemocytoblastに分化する.血島ははじめ孤立性にたくさんできるが,やがてそれらが互いにつながって,胎芽と卵黄嚢の原始血管網を形成する.
心臓の原基は,胚盤頭方の心臓形成領域car—diogenic areaで発生し,はじめ左右一対の心内膜筒endocardial tube (原始心筒)が作られる(図1)が,これらは羊膜腔の拡大と胎芽の屈曲fold—ingに伴って胎芽の腹方へ移動し,左右の心内膜筒が正中部で癒合する.
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