特集 母子感染の最新知識
各論
ウイルス感染症 C型肝炎ウイルス
加藤 健
1
,
水落 建輝
1
KATO Ken
1
,
MIZUOCHI Tatsuki
1
1久留米大学医学部小児科学講座
pp.590-593
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001554
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疾患の病態
C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)は,1989年米国のChooらによって発見されたフラビウイルス科に属し,約9.6kbのプラス鎖RNAをゲノムにもつウイルスである1)。2020年には世界で5,680万人がHCVに感染しており,そのなかには2018年時点で0~18歳の子ども330万人も含まれている2,3)。日本では,2015年に90~130万人が慢性HCV感染者であった4)。近年のわが国における小児HCV感染者の感染経路は,99%以上が母子感染と報告されている5)。HCV母子感染の感染様式としては,胎内感染と産道感染が考えられているが,その機序は明らかではない。出生直後の検査で血液中のHCV-RNAが陰性にもかかわらず,その後に陽性化する例もみられることから,産道感染の可能性も示唆されている。
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