シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
C型肝炎ウイルス
小原 道法
1
Michinori KOHARA
1
1(財)東京都臨床医学総合研究所微生物研究部門
キーワード:
C型肝炎ウイルス
,
PCR法
,
bDNA法
Keyword:
C型肝炎ウイルス
,
PCR法
,
bDNA法
pp.463-467
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902890
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はじめに
C型肝炎は血液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)が感染することにより引き起こされる.感染後高率に慢性化し(70~80%),肝硬変やさらに肝癌に移行する確率が高いといわれており臨床上重大な問題となっている.日本において非A非B型肝炎の大部分はC型肝炎であり,感染者は約200万人にのぼるとみられており重大な国民病と考えられている.分離同定が困難を極めた病因ウイルスであるHCVも分子生物学的手法により遺伝子がクローニングされ1~3),免疫電子顕微鏡法により粒子形態も同定され4),その構造および構成蛋白質の機能が明らかにされつっある.HCVは日本脳炎ウイルスや黄熱病ウイルスと同じフラビウイルス科に分類され,その核酸およびアミノ酸配列の検討から現在少くとも6つのグループに大別されている.多数のC型肝炎の患者からウイルス遺伝子がクローニングされ,その塩基配列および推測されるアミノ酸配列の比較検討の結果,日本では2つのグループ(グループ1および2)に大別され,さらにそれぞれ2つのサブタイプに分けられ各グループのHCVでは蛋白質合成開始効率やインターフェロン感受性も異なることが明らかとなってきた5)(表1).
ウイルスの感染を診断する方法としては,ウイルス抗原の検出と特異抗体の検出の2とおりの方法がある.
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