特集 母子感染の最新知識
各論
ウイルス感染症 ヒトパピローマウイルス
川名 敬
1
KAWANA Kei
1
1日本大学医学部産婦人科学系産婦人科学分野
pp.594-597
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001555
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HPV感染と母子感染症
ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス,human papillomavirus:HPV)は,200タイプ以上の遺伝子型がある。生殖器に感染することがあるものはそのうちの約半数で,粘膜型HPVという1)。そのうち,ハイリスクHPVは発癌と関連するが,母子感染によって出生児に影響することはない。ハイリスクHPVは多量のウイルスを排出することはせずに,細胞内に持続的に長期間感染し続ける。一方,ローリスクHPVのうち,HPV6,11型は尖圭コンジローマの主な原因ウイルスであり,癌との関連はほぼない。HPV6,11型は感染した重層扁平上皮を乳頭状に増殖させ,乳頭状隆起病変として尖圭コンジローマを形成する。ここでは,扁平上皮分化にウイルスゲノムが乗ることで多量のウイルスを排出することができる。その多量のウイルスによって分娩時に母子間の垂直感染を起こす。
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