特集 母子感染の最新知識
各論
ウイルス感染症 水痘・帯状疱疹ウイルス
杉本 篤哉
1
,
木下 大介
1
SUGIMOTO Atsuya
1
,
KINOSHITA Daisuke
1
1京都第一赤十字病院新生児科
pp.570-574
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001550
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病 態
水痘はヒトヘルペスウイルス科に属するvaricella-zoster virus(VZV)の初感染による急性の伝染性疾患であり,空気感染,飛沫感染,接触感染をきたしうる1)。ウイルスは気道粘膜から侵入し鼻咽頭の侵入部位と所属リンパ節で増殖した後,感染から4~6日で一次ウイルス血症をきたす。ウイルスは他の器官,肝,脾などに散布され増殖した後に,二次ウイルス血症を起こし皮膚に水疱を形成する。発疹は全身性で搔痒を伴い紅斑,丘疹を経て短時間で水疱となり痂皮化する。数日にわたり新しい発疹が次々と出現し,急性期にはさまざまな局面の発疹が混在することで臨床診断は容易とされる。臨床経過は一般的に軽症で,倦怠感,搔痒感,38°C前後の発熱が2~3日間続く程度であることが大半である。
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