特集 母子感染の最新知識
各論
ウイルス感染症 パルボウイルスB19
長﨑 澄人
1
NAGASAKI Sumito
1
1東邦大学医療センター大森病院産婦人科
pp.566-569
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001549
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各感染症の病態
Human parvovirus B19(以下,パルボウイルスB19)は飛沫・接触感染でリンゴ病といわれる伝染性紅斑や関節炎を引き起こす原因ウイルスである。伝染性紅斑自体は4~5年おきに流行期があり,春から夏にかけて流行するといった傾向がある。2007年,2011年,2015年,直近では2018年から2019年にかけての流行がある。感染した場合,約10日前後の潜伏期間の後に発疹が出現する。発疹は通常1週間程度で消失するが,発疹の出現する7~10日前に微熱や倦怠感などの症状を呈することもある。「リンゴ病」としてよく知られているように,小児がパルボウイルスB19に感染すると特徴的な頰への紅斑が生じることが多いが,成人がパルボウイルスB19に感染しても小児期で特徴的な頰の紅斑は認めず,軽度の上気道炎,筋肉痛や関節痛,非典型的な紅斑などの症状にとどまることや不顕性感染であることも少なくないため妊婦(成人)がパルボウイルスB19に感染しても診断は難しい。しかし,妊婦がパルボウイルスB19に感染した場合,経胎盤的に胎児もパルボウイルスB19に感染し催奇形性はないものの感染した児の一部で貧血,それに引き続く高心拍出性心不全,胎児水腫,胎児死亡をきたすことがあるので注意が必要である。
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