特集 母子感染の最新知識
総論
胎児・胎盤の感染防御機構 母子感染の成り立ち
相澤(小峯) 志保子
1
,
髙田 和秀
1
,
Quang Trinh Duy
1
,
早川 智
1
KOMINE-AIZAWA Shihoko
1
,
TAKADA Kazuhide
1
,
Quang Trinh Duy
1
,
HAYAKAWA Satoshi
1
1日本大学医学部病態病理学系微生物学分野
pp.533-537
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001542
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
妊婦が感染症に罹患した場合,胎児・新生児への影響と母体の重症化の2点が懸念される。母体に感染したのち,一部の病原微生物は胎盤を構成する細胞に感染して,胎児に移行し,先天感染を引き起こすことがある。TORCH症候群の原因となるトキソプラズマ,梅毒トレポネーマ,風疹ウイルス,サイトメガロウイルス(CMV),ヘルペスウイルス(HSV)に加えて,ヒト免疫不全ウイルス(HIV),ヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1),ジカウイルスなど,さまざまな病原微生物が先天感染の原因となりうる。一方では,インフルエンザウイルスやSARS-CoV-2のように,胎盤に病原体が到達していても,胎児には感染しない場合も多く,病原体によっては胎盤での感染防御機構が働くと考えられる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.