総説
感染防御機構
野本 亀久雄
1
1九州大学癌研究施設・免疫部門
pp.729-733
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914803
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微生物の侵入に対する防御機構の成り立ち
皮膚,粘膜などの機械的・機能的な壁や新しく侵入してきた病原菌の増殖に対する常在微生物叢によるコントロールなどは,第1の防衛線を形造っている.このような体外からの侵入に対する防衛線が破れると,体内で異物排除機構が働くようになる.まず,多核白血球,特に好中球が分から時間の単位で侵入部位へ集まり,食作用によって微生物を処理しようとする.この好中球のレベルで処理が完了するものには,常在微生物的なものが多いと考えられる.好中球で処理が完了しないときには,マクロファージへと処理が受け渡される.微生物の侵入している部位へ,免疫とかかわりなくマクロファージが集合するのは24〜96時間にかけてである.マクロファージへ受け渡されるような異物は生体に長くとどまる性格を持っているので,多くの場合免疫へとバトンタッチされる.
マクロファージに取り込まれた異物は抗原刺激としてリンパ球へ受け渡され,免疫応答の引き金を引く.リンパ球の分裂と分化を経て,体液性免疫の担い手である抗体分子や,細胞性免疫の担い手である感作リンパ球の産生される過程が免疫応答と呼ばれる,この過程に数日から数週を要する.産生された抗体は好中球やマクロファージによる微生物の取り込みを促進し(オプソニン作用),感作リンパ球は感染部位へマクロファージを集合させ更に活性化される(活性化マクロファージの出現).
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