特集 新型コロナウイルス感染症と周産期医療
各論
産科医療への影響 SARS-CoV-2感染症での胎盤の変化
髙田 和秀
1
,
相澤(小峯) 志保子
1
,
早川 智
1
TAKADA Kazuhide
1
,
KOMINE-AIZAWA Shihoko
1
,
HAYAKAWA Satoshi
1
1日本大学医学部病態病理学系微生物学分野
pp.1454-1458
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001120
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はじめに
2020年初頭,WHOがCOVID-19パンデミックを宣言し,わが国でも多数の罹患者が出現したとき,我々が最初に心配したのは,今まで未知であったこのウイルスが子宮内感染を起こすかどうかであった。幸いなことに子宮内感染はきわめて稀であり,風疹やジカ熱のような催奇性もないことが判明し,胎盤関門が有効に働いている可能性が判明した。しかし,疫学的には罹患妊婦では妊娠高血圧腎症や早産・死産のリスクが増加し,その背景にはウイルスによる胎盤の直接傷害性に加えて,微小血栓形成や絨毛間腔炎など胎盤の非特異的炎症性変化が関与する1)。本稿では,COVID-19罹患妊婦の胎盤病変と胎盤関門の分子機序について概説する。
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