特集 産科医療補償制度15年でみえてきたもの―脳性麻痺の原因分析と再発防止策
各論
脳性麻痺の原因と再発防止 2.産科疾患 常位胎盤早期剝離
谷垣 伸治
1
,
松島 実穂
1
,
田嶋 敦
1
TANIGAKI Shinji
1
,
MATSUSHIMA Miho
1
,
TAJIMA Atsushi
1
1杏林大学産科婦人科
pp.93-96
発行日 2024年1月10日
Published Date 2024/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001408
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はじめに
常位胎盤早期剝離は,1,000分娩あたり単胎で5.9例,双胎で12.2例に発症し,その周産期死亡率は,わが国全体の周産期死亡率に対し10倍以上高い。産科医療補償制度再発防止委員会から公表されている再発防止に関する報告書・提言に脳性麻痺発症の主たる原因として記載されている単一の病態のうち,常位胎盤早期剝離は142例(80.7%)と最多であった。また,同報告書・提言における「テーマに沿った分析」のテーマとしても,常位胎盤早期剝離は,本制度開始早期から複数回取り上げられている。テーマに沿った分析第2回では,常位胎盤早期剝離の発症リスクを高めることのないよう,また発症時には早期発見できるよう妊娠中の保健指導を取り上げ,第3回では,常位胎盤早期剝離の危険因子の管理,常位胎盤早期剝離と切迫早産との鑑別診断,常位胎盤早期剝離の総合的診断,常位胎盤早期剝離診断後の対応について提言し,第6回では,診療体制,入院時の胎児心拍数所見,早産事例における常位胎盤早期剝離発症時の子宮収縮抑制薬使用状況,臨床経過に関する医学的評価,今後の産科医療向上のために検討すべき事項について分析が行われている。本稿では,これらテーマに沿った分析の要点について述べる。
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