特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 産科編
各論
切迫早産と常位胎盤早期剝離
島田 智子
1
,
田嶋 敦
1
SHIMADA Tomoko
1
,
TAJIMA Atsushi
1
1杏林大学医学部産科婦人科学教室
pp.886-889
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000962
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はじめに
常位胎盤早期剝離の初発症状は,性器出血,腹痛,腹部緊張感,胎動減少である。一方で,切迫早産の診断は規則的な子宮収縮および子宮頸管の開大・展退の進行を認め,早産となる可能性が高い状態をいう。子宮収縮は時に腹痛,腹部緊満感とも捉えられ,子宮収縮に伴う性器出血を認めることもあるため,常位胎盤早期剝離と切迫早産の臨床症状は類似している。『産婦人科診療ガイドライン産科編2020』においても,「子宮収縮は常位胎盤早期剝離の初発症状である可能性を認識し,特に胎児心拍数パターン異常が認められる場合は常位胎盤早期剝離を念頭におき診療を行う」とされている1)。典型的な症状を呈する場合は鑑別が比較的容易であるが,常位胎盤早期剝離は軽症から重症まで,時には無症状の場合もあり,鑑別診断のポイントをしっかりと押さえる必要がある。
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