増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
蘇生
出生後の呼吸障害で酸素投与よりCPAPが優先されるのはなぜか
杉浦 崇浩
1
SUGIURA Takahiro
1
1豊橋市民病院小児科(新生児)
キーワード:
CPAP
,
人工呼吸
,
INSURE
,
LISA
Keyword:
CPAP
,
人工呼吸
,
INSURE
,
LISA
pp.594-596
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001379
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新生児呼吸障害の基本病因
呼吸障害のある児では呻吟がみられることがある。これは児が呼気時に声帯を狭めて陽圧をかけ,肺胞が虚脱するのを防ぎ,機能的残気量を増やそうとする自己防衛反応である。このことを臨床的に応用し,持続的に一定の陽圧を気道に負荷する方法がCPAP(continuous positive airway pressure)である。1971年のGregoryらによる新生児呼吸窮迫症候群に対するCPAP療法の報告以来1),新生児呼吸障害の管理法として広く普及していたが,1980年代には新生児用人工呼吸器の普及とともに気管挿管による人工呼吸管理にとって代わられていた。1987年に北米8か所の新生児集中治療室(NICU)による比較検討で,nasal CPAPを積極利用していたColombia大学の慢性肺疾患(chronic lung disease:CLD)の頻度が低いことが注目され,nasal CPAPの再評価につながった2)。
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