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特集 いびきの治療
5.CPAP
5.Continuous Positive Airway Pressure(CPAP)
宮崎 総一郎
1
Soichiro Miyazaki
1
1秋田大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.627-631
発行日 2003年8月20日
Published Date 2003/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100924
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I.はじめに
いびきや無呼吸(睡眠呼吸障害)の主な原因・要因として,肥満,加齢,鼻閉,アデノイド増殖,口蓋扁桃肥大,舌扁桃肥大,軟口蓋形態異常,反回神経麻痺,顎・小顎症,下顎後退,巨舌ならびに甲状腺機能低下症などがある。さらに睡眠時の仰臥位,過度のアルコール摂取が増悪因子となる。治療に当たっては,症例ごとに無呼吸をきたす病態や原因が異なることを十分に把握し,個々の病態や原因に応じた治療を選択することが大切である。
経鼻持続陽圧呼吸nasal CPAP(continuous positive airway pressure:以下,CPAP)は1981年,Sullivanら1)によって睡眠時無呼吸患者への有効性が報告された治療法である。CPAPは鼻マスクを通し,ブロワー(空気供給器)からチューブ,鼻マスクを介して一定圧を生み出す量の空気を送り込むと,閉塞した咽頭が開大して(pneumatic splint)呼吸できるようになる(図1)。図2のように,重症の睡眠時無呼吸症例で,閉塞性無呼吸のため睡眠時の動脈血酸素飽和度が50%近くまで,一晩で300回以上低下していたものが,CPAP使用により無呼吸は消失し,酸素飽和度低下も改善,熟睡が得られるため睡眠時間の短縮を認めた。基本的には対症療法であるが有効性が確立され,適用が容易であること,副作用や合併症が少ないことから,睡眠時無呼吸の初期治療として広く使用されている。
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