増刊号 周産期診療のための病態生理
[産科編]
外因による胎児・新生児への障害
妊娠中の食事やサプリメントの胎児への悪影響のメカニズムは?―ポリフェノール摂取による動脈管早期収縮を中心に
齋藤 翔子
1
,
齋藤 昌利
1
SAITO Shoko
1
,
SAITO Masatoshi
1
1東北大学病院総合周産期母子医療センター
キーワード:
動脈管早期収縮
,
PCDA
,
ポリフェノール
,
ルイボスティー
Keyword:
動脈管早期収縮
,
PCDA
,
ポリフェノール
,
ルイボスティー
pp.216-218
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001280
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ポリフェノール摂取による動脈管早期収縮の基本病態
1 基本病因,発症機序,解剖学的背景
胎児では右室から拍出された血液の大半が主肺動脈から動脈管を介して下行大動脈へ流れる(図1A)。動脈管は正常の胎児循環に必要不可欠な血管であり,その開存維持には動脈管拡張作用を有するプロスタグランジン(PG)E2が重要な役割を果たしている。PGE2はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)-1,COX-2によりアラキドン酸から合成され,その産生場所は主に胎盤と動脈管である。出生後は動脈管拡張作用を有するPGE2血中濃度の急激な低下と血中酸素分圧上昇による血管平滑筋の収縮が起こり,動脈管は速やかに機能的閉鎖に至る。肺血管抵抗も急激に低下するため,動脈管が閉鎖することで右室から拍出された血液はすべて肺へ流れることになる(図1B)。
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