特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 産科編
各論
妊娠中期における頸管長短縮
大槻 克文
1
OTSUKI Katsufumi
1
1昭和大学江東豊洲病院周産期センター
pp.881-885
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000961
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はじめに
妊娠中期に実施される経腟超音波の普及により,内診と比較して経腟超音波による所見は客観性に優れ,なおかつ早期診断につながることが証明されている1)。また,早産スクリーニングを目的として,早産ハイリスク因子を有さない妊婦に対して子宮頸管長計測は広く行われており,少なくとも20週前には実施すべきである。早産ハイリスク因子を有する患者については,12週以降での計測を否定する要素は全くない。一方,妊娠中期の頸管長短縮症例に対しては,治療的頸管縫縮術(本稿での「緊急頸管縫縮術」)が行われている。また,胎胞視認症例などにも治療的頸管縫縮術が行われているが,それら緊急頸管縫縮術の適応については「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」に記載されているものの,一定の見解には至っていない。また,その手術手技についても統一した手技はなく,術者および施設の判断に任されているのが実情である。本稿では,これら問題点について最新の文献的考察を加えて述べたい。
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