特集 How to Follow-up―ハイリスク児フォローアップの必修知識2023
家族支援
NICU退院児の虐待の予防・早期発見・対応
井上 登生
1
INOUE Nario
1
1井上小児科医院
pp.488-491
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000846
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
2005(平成17)年1月25日に厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課(監),恩賜財団母子愛育会発行の母子保健情報50号,特集「これからの子ども虐待防止を考える」が世に出されて17年が経過した。この間の子どもを,そして親を,児童虐待から守る,という多くの分野の専門家の願い1)が徐々ではあるが確実に進化し,わが国で子どもをもち,育て,ともに生きることを決心したすべての家庭が,安心して,安全に,すべての子どもや大人のウェル・ビーイングが維持できるようになるための準備が国を挙げて進められている。この特集のなかで,当時,大阪府立母子保健総合医療センター成長発達科部長であった小林美智子は,「はじめに」のなかで次のように述べている2)。35年前に大阪府保健所の母子保健活動に参画したときに,一番困難な事例が,今いう「子ども虐待」であった(中略)。保健師は,社会の底辺に点在して潜む母子の命を守ろうと,コツコツと家庭訪問をくり返していた。しかし当時はこの仕事が社会に認められることはなかった。このように,保健師は以前から今でいうところの虐待に取り組んでおり,その武器は「気になる母や子を守りたい」という保健師魂の熱意であった。そこに「虐待」の理解と援助技法を導入すると,飛躍的に効を奏するようになった。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.