特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
総論
東京都の母体救命対応型総合周産期センターの活動状況
松岡 隆
1
MATSUOKA Ryu
1
1昭和大学医学部産婦人科学講座
pp.337-343
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000812
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わが国の医療環境は国民皆保険,フリーアクセスなど欧米とは異なる点が多く,それは周産期診療においても然りである。欧米における分娩管理は,そのほとんどが病院(周産期センター)に集約されているが,わが国では全分娩の約半分が19床以下の有床診療所で管理されている。分娩の多くは正常もしくはある程度の逸脱範囲を超えない経過をたどるが,出血多量によるショックなど,正常経過から大きく逸脱した場合は有床診療所での管理は困難となり,速やかに,しかるべき高次施設へ搬送する必要がある。現状の医療資源のなかで良好な周産期予後を維持するためには,この搬送システムがいかにうまく働いているか,働かせることができるかがわが国の周産期管理の重要な課題である。
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