特集 Controversies in perinatology 2023 産科編
妊娠32週未満早産期の出生前ステロイド使用 重症HDP―使用しない
菅 幸恵
1
SUGA Sachie
1
1国立病院機構長崎医療センター産婦人科
pp.1676-1678
発行日 2022年12月10日
Published Date 2022/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000706
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はじめに
早産が予測される場合に経母体的コルチコステロイド投与法〔出生前コルチコステロイド(ACS)療法〕1)は,肺サーファクタント産生の未熟な早産児の肺サーファクタント産生を促進することによる呼吸窮迫症候群(RDS)発症の予防法として,妊娠母体の薬剤による治療的介入としては,もっとも広く普及している世界標準の治療法である。ACS療法は,妊娠34週未満の早期早産を対象に,RDS予防はもとより,新生児頭蓋内出血の予防効果とともに周産期死亡率の改善に貢献してきた2,3)。しかし,妊娠高血圧症候群(HDP)などのハイリスクグループでの使用に関しては,その有益性に対してのエビデンスは乏しい4)。さらに,最近の知見では,ACS治療による児の長期的な有害事象の報告5)があり,投与症例を慎重に吟味することの重要性に関心が寄せられている。本稿では,このような有害事象を含め,重症HDP症例で出生前ステロイド投与を慎重に行うべき理由について述べることとする。
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