特集 Controversies in perinatology 2023 産科編
妊娠34~36週での非重症HDP―待機管理
渡辺 員支
1
WATANABE Kazushi
1
1愛知医科大学周産期母子医療センター特任教授
pp.1756-1758
発行日 2022年12月10日
Published Date 2022/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000728
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はじめに
妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)は,母児の予後に影響を及ぼす可能性のある産科特有の重篤な疾患である。現在,わが国のHDPの定義・分類1)における重症度分類に関しては,重症のみを定義し軽症は設定していない。これは,HDPは急激に病状の悪化を認めることも多く存在するために,軽症という用語はハイリスクでないと誤解される可能性があることからである。このように,重症HDPでは母児の急激な病状悪化に伴い急速遂娩を余儀なくされ,緊急帝王切開などの迅速な対応が必要となる場合がしばしば存在する。一方,重症に分類されないHDP妊婦は,非重症HDP妊婦とし,適切な妊娠管理のもと,児の未熟性を考慮して妊娠期間の延長をはかる待機管理が必要となる。
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