特集 Late preterm・Early termを展望する
各論
新生児編―Late preterm・Early term児の生理学的特徴と疾患と管理法 黄疸
安田 真之
1
YASUDA Saneyuki
1
1香川大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
pp.570-574
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000130
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はじめに
新生児黄疸とは新生児期に体内のビリルビン濃度が上昇する状態である。ビリルビンの主要代謝経路はビリルビンUDP(uridine diphosphate)-グルクロン酸転移酵素(UGT)によるグルクロン酸抱合であり,蓄積するビリルビンの種類により,それぞれ非抱合型,抱合型高ビリルビン血症と分類される。新生児期には非抱合型高ビリルビン血症の頻度が高く,これは哺乳類のなかでもヒトと霊長類の一部にのみ生じるとされる。生後早期に生じる新生児高ビリルビン血症の原因はビリルビン生成量の増加(出生時の高ヘモグロビン濃度,半減期の短い胎児ヘモグロビンの存在など)とビリルビン排泄量の低下(出生直後の低いUGT活性,腸肝循環の存在など)の複合的要因にあるとされ,多くは病的意義をもたず生理反応であるとされる。しかし,一部の新生児では治療が必要な病的状態を生じ,さらに治療が遅れた場合にはビリルビン脳症(核黄疸)や死亡にいたる。なぜ,われわれ人類に,これらのリスクのある生理的状態が必要なのかは不明な点も多い。
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