特集 Late preterm・Early termを展望する
各論
産科編―産科合併症・合併症妊娠の最適な分娩時期 早産症状のない前置胎盤
田嶋 敦
1
TAJIMA Atsushi
1
1杏林大学医学部産科婦人科
pp.496-499
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000113
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はじめに
前置胎盤は分娩前後に大量出血となるリスクがある母児ともに生命の危機にかかわる疾患であり,「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」1)では妊娠31週末までに高次施設に紹介するように記載されている。これは高次施設における自己血輸血などの準備を行う時間を考慮しての意味と,前置胎盤では警告出血から人為的に早産となる可能性が高いことから早産児に対応するためとされている。さらに,帝王切開時においても止血操作の工夫や癒着胎盤に対する対応が要求されることもあり,緊急帝王切開となった場合は,産婦人科医にかかる負担は大きい。ガイドラインでは予定帝王切開を妊娠38週までに行うとしているが,実際の平均の分娩週数は34~35週とされており1),多くの緊急帝王切開が行われているのが現状である。
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