特集 Late preterm・Early termを展望する
総論
Late preterm・Early term児の疫学―産科 主な産科合併症・合併症妊娠別にみた分娩週数の現状
大槻 克文
1
OTSUKI Katsufumi
1
1昭和大学江東豊洲病院産婦人科
pp.447-451
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000104
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はじめに
わが国における周産期死亡率,22週以降の死産率,早期新生児死亡率はともに世界一低い水準となっている。一方で,早産率に関してはここ数年前までは上昇傾向を認め,それ以降は5.7%と一定の値を示しており,減少傾向とはなっていない。しかし,この早産率は欧米諸国,とくに米国と比較しても約半数の値である。早産発症には,母体因子以外にも,胎児因子,遺伝学的因子,内分泌学的因子,ストレス因子,栄養代謝的因子などがあり,さまざまな因子が単独ないし複数絡み合うことで,妊娠維持機構が破綻し早産発症の病態へとつながっていくと考えられている(図1)。早産の原因疾患としては,絨毛膜羊膜炎,妊娠高血圧症候群,前期破水,多胎妊娠,子宮内胎児発育遅延,常位胎盤早期剝離,前置胎盤などが挙げられる。
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