特集 花粉症の疑問に答える
【疫学】
花粉症とoral allergy syndromeはどう関連するか?
木村 将吾
1
,
中丸 裕爾
1
Shogo Kimura
1
,
YUji Nakamaru
1
1北海道大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
キーワード:
花粉症
,
花粉-食物アレルギー症候群
,
口腔アレルギー症候群
,
アレルゲンコンポーネント
Keyword:
花粉症
,
花粉-食物アレルギー症候群
,
口腔アレルギー症候群
,
アレルゲンコンポーネント
pp.1041-1044
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001753
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はじめに
口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)とは口腔に限局した食物アレルギーの総称であり,1987年にAmlotらが皮膚試験陽性の食品を摂取後にアレルギー症状が口腔咽頭から始まり全身まで至る現象を初めてOASと提唱した1)。この定義では牛乳や卵などによるクラス1アレルギーも含まれていた。一方,1988年にOrtolaniらは花粉症患者が果物や野菜を摂取した直後に口腔内に限局した症状をきたし稀に全身症状に進展するものをOASと報告した2)。これらの2つの概念が同じOASと呼称されたため混同されやすいが,現在では後者は花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)と呼ばれている3)。PFASは特定の花粉抗原に感作され,構造が類似した果物などの食物抗原との交差反応によって生じ,感作抗原と誘発抗原が異なるクラス2の食物アレルギーである。
本稿では,PFASの病態から症状,診断,治療に至るまで解説していく。

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