特集 高齢者の疑問にどう答えるか
喉頭・気管・嚥下領域
日常生活で誤嚥性肺炎を予防する方法はありますか?
田中 加緒里
1
Kaori Tanaka
1
1愛媛大学医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
高齢者
,
誤嚥性肺炎
,
かくれ嚥下障害
,
喉頭挙上自己訓練
,
経口摂取再獲得
Keyword:
高齢者
,
誤嚥性肺炎
,
かくれ嚥下障害
,
喉頭挙上自己訓練
,
経口摂取再獲得
pp.1153-1155
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000769
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はじめに
高齢者の嚥下障害は,加齢に伴う嚥下機能低下を背景として,さまざまな原因が重複して発症するため,重症化,難治化しやすい。もともと経口摂取自立していた高齢者が,嚥下器官に直接影響しない他科入院中に突然誤嚥性肺炎を発症して嚥下障害が顕在化し,そのまま経口摂取再獲得できないまま代用栄養が不可避となることは少なくない。高齢者では,“フレイル(虚弱)” が要介護の前段階として問題になることがあるが,嚥下障害に対する治療的介入を開始した時点で,集中的リハビリテーションに耐えうる嚥下関連筋および全身の筋力耐久性が維持されているかどうかが,経口摂取再獲得の可否を左右するポイントの1つとなる。ラジオ体操のような全身体操を毎日行うことが,体力増進に有効であることが広く認知されているように,日頃から舌骨上筋群を中心とした嚥下関連器官を鍛えておくことは,疾患などのストレス負荷にも耐え,最後まで自分らしく,口から食べ続けることを目指すうえで重要である。
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