特集 意外と知らないステロイドの知識
知っておくべきステロイドの知識
免疫抑制療法におけるB型肝炎ウイルス再活性化の現状と方策―ステロイド単独治療中心に
田中 靖人
1
Yasuhito Tanaka
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生体機能病態学分野消化器内科学講座
キーワード:
ステロイド薬
,
免疫抑制療法
,
B型肝炎再活性化
,
高感度HBcrAg測定
Keyword:
ステロイド薬
,
免疫抑制療法
,
B型肝炎再活性化
,
高感度HBcrAg測定
pp.361-364
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000515
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はじめに
近年,悪性腫瘍や自己免疫疾患の治療において,多種多様の抗がん薬や免疫抑制薬が使用されている。それに伴いB型肝炎既感染者でB型肝炎ウイルス(以下HBV)の再活性化による劇症肝炎の発症が問題になっている。HBV再活性化はステロイドや免疫抑制薬の減量中あるいは投与終了後に起こり,特に劇症肝炎が発症してから抗HBV療法を開始しても死に至ることが少なくない。したがって,悪性腫瘍や自己免疫疾患の治療においては,HBs抗原およびHBc抗体,HBs抗体を測定し,HBs抗原陽性例には核酸アナログを投与し,HBs抗原陰性でHBc抗体またはHBs抗体陽性患者には定期的にHBV-DNAを測定し,HBV-DNAが陽性になった時点で核酸アナログを投与することが推奨されている。
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