特集 B 型肝炎Trends & Topics
8 .B 型肝炎再活性化とその対策
持田 智
1
1埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科
キーワード:
HBV再活性化
,
de novo B型肝炎
,
免疫抑制療法
,
化学療法
,
急性肝不全
Keyword:
HBV再活性化
,
de novo B型肝炎
,
免疫抑制療法
,
化学療法
,
急性肝不全
pp.183-190
発行日 2020年1月20日
Published Date 2020/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001050
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HBVが肝細胞に感染すると,核内にcccDNAが生涯残存する.このためHBs抗原陰性,HBc抗体ないしHBs抗体陽性のB型既往感染例は,遺伝子レベルではHBs抗原陽性キャリアと同様で,免疫抑制・化学療法を実施すると,HBVが再活性化してウイルス血症を生じることがある.HBV再活性化に起因する肝炎がde novo B型肝炎で,重症化して予後不良の症例が多い.日本肝臓学会はその予防ガイドラインを発表しているが,未だ非遵守例がみられ,厚生労働省研究班に登録された急性肝不全症例のうち,B型キャリア例はその約50%が医原性の再活性化例である.HBV再活性化のリスクは,血液悪性腫瘍の化学療法で高いが,リウマチ疾患などの免疫抑制療法でも致死的経過を辿る症例があり,すべての領域で啓発活動を継続する必要がある.
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