特集 先天性難聴への対応
先天性難聴と遺伝学的検査―次世代シークエンサーの臨床応用
茂木 英明
1,2
,
宇佐美 真一
2
Hideaki Moteki
1,2
,
Shinichi Usami
2
1相澤病院耳鼻咽喉科,遺伝子診療科
2信州大学医学部人工聴覚器学講座
キーワード:
先天性難聴
,
遺伝子
,
次世代シークエンサー
Keyword:
先天性難聴
,
遺伝子
,
次世代シークエンサー
pp.745-748
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000189
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はじめに
先天性難聴の原因の約60%は遺伝的な要因にある1)。難聴の原因となる遺伝子は,内耳の恒常性維持や形態,信号伝達等々に重要な機能を持ち,その塩基配列の変化,遺伝子の量的な変化などによって本来の機能が阻害されることで内耳機能が低下,難聴という表現型を示す。現在までに約120の原因遺伝子が同定されている。遺伝的異質性(genetic heterogeneity):同じような “難聴” という表現型を示す “異なる原因遺伝子” が多数あるため,臨床症状だけから原因遺伝子を推定することは極めて困難である。多数の遺伝子を網羅的に解析する次世代シークエンサーの登場により,原因遺伝子の同定が一気に進んだ。この20年余りの研究により,先天性難聴とその原因遺伝子について多くの成果が得られ,実臨床においても遺伝学的検査の有効性が示されてきた2)。初めて次世代シークエンサーが臨床応用された保険適用の検査が “先天性難聴の遺伝学的検査” である。
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