Japanese
English
特集 老化と廃用―予防と治療
摂食・嚥下機能
Aging process and disuse syndrome in swallowing ability.
藤谷 順子
1
Junko Fujitani
1
1国立国際医療センターリハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, International Medical Center of Japan
キーワード:
嚥下機能
,
加齢
,
廃用
Keyword:
嚥下機能
,
加齢
,
廃用
pp.637-641
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100334
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摂食・嚥下機能の加齢変化
1.感覚機能の低下
先行期においては食事の認知が重要で,視覚的,嗅覚的刺激により摂食・嚥下が誘発される.加齢に伴い,嗅覚閾値が上昇し,閾値以上の匂いの識別能力も低下する1).
味覚に関しては,甘味・苦味・酸味・塩味の4種類の官能テスト,および,電気味覚検査などで検査が行われている.50歳代以上では塩味の閾値が上昇することが報告されているが2),その他の味覚の閾値上昇については,諸説がある.味覚は舌の味蕾のみならず軟口蓋,さらに咽頭でも感知していると報告されており,軟口蓋の味覚の加齢による低下は,舌による味覚の低下に比べて顕著であるとの報告3)もある.また,塩味に関しても,閾値以上での弁別覚については,高齢者でも低下しないと報告されている2).被験物の味の変化による嚥下機能を表面筋電図で評価したDingら4)の報告では,若年者では嚥下が促進される味の変化で,高齢者では嚥下機能の変化がみられず,味に関する感度の低下が推察されている.
実際に味覚障害を訴える患者は年齢と共に増加するが,この原因としては,薬剤の影響,低亜鉛血症が推察されている.
圧覚についても閾値の上昇が報告されている5).
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