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Ⅰ 抗nephrin抗体の発見
特発性ネフローゼ症候群の原因は,長年にわたり多くの研究者によって探索されてきたが,明確には同定されていなかった。2022年に,微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change disease:MCD)の病態に抗nephrin抗体が関与することが報告され,ネフローゼ症候群の診療にとって歴史的な発見となった1)。その後,免疫抑制治療開始前の小児ネフローゼ患者では,90%以上の症例で抗nephrin抗体が陽性であることが報告された2)。さらに,筆者らは,ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を呈して末期腎不全に進展し,腎移植後にもネフローゼ症候群を再発する希少難病である特発性巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)においても,抗nephrin抗体が関与することを報告した3~5)。腎移植においては,レシピエントの血流に曝露した直後の腎組織を解析できるという特徴がある。そこで筆者らは,抗nephrin抗体陽性で腎移植後にFSGS再発をきたした症例の,血流再開1時間後の移植腎生検検体を用い,nephrinのリン酸化亢進および,リン酸化nephrinに結合してエンドサイトーシスに関与するSrc homology and collagen A(ShcA)の発現亢進を免疫染色により示した3, 4)。その後,Zhangらは動物モデルを用い,抗nephrin抗体関連病態において,ポドサイトで細胞周期や細胞骨格を制御するcell division control protein 42(CDC42)の活性が亢進することを報告しており6),これらの研究により,抗nephrin抗体の病原性は徐々に明らかになりつつある。抗nephrin抗体の発見は,ネフローゼ症候群の病態理解にパラダイムシフトをもたらした。

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