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特集 「糸球体上皮細胞学」の最新知見
各論
腎疾患と上皮細胞
抗ネフリン抗体と巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
Anti-nephrin autoantibodies and focal segmental glomerulosclerosis
白井 陽子
1
,
三浦 健一郎
1
,
服部 元史
1
SHIRAI Yoko
1
,
MIURA Kenichiro
1
,
HATTORI Motoshi
1
1東京女子医科大学腎臓小児科
キーワード:
抗ネフリン抗体
,
巣状分節性糸球体硬化症
Keyword:
抗ネフリン抗体
,
巣状分節性糸球体硬化症
pp.353-358
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001810
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はじめに
一次性ネフローゼ症候群の原因は,長年多くの研究者が探索してきたが同定されていなかった。2022年に,微小変化群(minimal change disease:MCD)の病態に抗ネフリン抗体が関与することが報告され,ネフローゼ症候群の診療にとって歴史的な発見となった1)。一方,一次性巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)は,ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を呈し,高い確率で末期腎不全に至り,腎移植後もネフローゼ症候群を再発する希少難病である。FSGSの病因に関しても,循環血液中に存在する蛋白尿惹起液性因子であることは推定されていたものの,いまだ同定されていなかった。筆者らは,MCDにおける抗ネフリン抗体の発見を受けて,多施設共同研究を行い,抗ネフリン抗体が腎移植後FSGS再発における蛋白尿惹起液性因子の1つでもあることを示した2,3)。本稿では,FSGSにおける抗ネフリン抗体に関して,今後の展望とともに概説する。

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