巻頭言
多発性囊胞腎診療の新地平―基礎と臨床の融合が拓く未来
土肥 薫
1
1三重大学大学院医学系研究科循環器・腎臓内科学
pp.283-283
発行日 2026年3月25日
Published Date 2026/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002352
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多発性囊胞腎(polycystic kidney disease:PKD)は,わが国における末期腎不全の主要な原因疾患の1つであり,特に進行例では腎機能低下速度が速く,患者・医療者双方にとって,長年にわたり大きな課題であった。PKD1,PKD2を中心とする遺伝子異常に起因する本疾患は,かつては「治療介入が困難な遺伝性腎疾患」と捉えられてきたが,近年の診断学・治療学の進歩を背景として,その診療パラダイムは大きな転換期を迎えている。トルバプタンの登場は,PKD診療における最初の大きな転換点であった。疾患進行そのものを修飾しうる治療薬が臨床に導入された意義はきわめて大きく,腎容積や推算糸球体濾過量(eGFR)低下速度を指標としたリスク層別化,早期介入の重要性が強く認識されるようになった。こうした治療戦略の進展と歩調をあわせる形で,画像診断技術や遺伝学的知見の蓄積を背景に,PKDの診断基準や疾患定義そのものについても再検討が進められてきた。
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