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第34回腎と妊娠研究会
【シンポジウム】妊娠高血圧腎症におけるNLRP3インフラマソームの関与と児への長期的影響
Possible involvement of the NLRP3 inflammasome in preeclampsia and offspring outcomes later in life
小澤 廉
1
,
白砂 孔明
1
OZAWA Ren
1
,
SHIRASUNA Koumei
1
1東京農業大学大学院農学研究科動物科学専攻
キーワード:
妊娠高血圧腎症
,
NLRP3インフラマソーム
,
DOHaD説
Keyword:
妊娠高血圧腎症
,
NLRP3インフラマソーム
,
DOHaD説
pp.695-699
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002234
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はじめに
妊娠という一大イベントが成立するためには,排卵や着床,分娩に至るまでの多くの場面において,適切な炎症応答や免疫システムが重要である。一方,妊娠高血圧腎症では,母体で免疫系の過剰な活性化が起きることや,全身性の慢性炎症が病態に関与していると考えられる。胎盤が慢性的な低酸素状態に陥ることで炎症状態となることが妊娠高血圧腎症の発症要因であり,この病態は分娩とともに改善されるため,胎盤が発症の中心的役割を担っている。病態が深刻化すると,胎盤機能不全により胎児発育不全が起こり,母体では腎障害やHELLP症候群を合併する可能性がある。また,妊娠高血圧腎症を発症した妊婦は,その後の腎機能不全や次回妊娠における妊娠高血圧腎症の発症リスクが高まる。さらに,妊娠高血圧腎症の妊婦から生まれた児は,成長後に高血圧や肥満,神経疾患などの罹患リスクが高まり,母子ともに長期にわたる影響が懸念される。

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