Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
宿主のマクロファージや樹状細胞はパターン認識受容体で病原体などの構成成分を認識し,さまざまなサイトカインやケモカインを産生することで初期感染防御に貢献するとともに獲得免疫系の細胞を活性化する。パターン認識受容体はその局在部位により大きく二つに分類することができる。一つは形質膜上に存在し,おもに細胞外やファゴソーム,エンドソーム内のリガンドを認識する受容体(Toll様受容体Toll-like receptor;TLRやC型レクチン受容体C-type lectin receptor;CLR),もう一つは細胞質内でリガンドを認識する受容体(NOD様受容体nucleotide-binding domain and leucine-rich repeat―containing receptor,or NOD-like receptor;NLR,RIG-Ⅰ様受容体RIG-Ⅰ like receptor;RLRやDNAセンサーのAIM2など)である1)(図1)。
代表的なパターン認識受容体であるTLRは,リガンドを認識すると細胞内シグナル伝達を介して転写因子NF-κBやIRFを活性化し,炎症性サイトカイン(IL-6やTNF-αなど)やⅠ型IFN(IFN-α/βなど)を産生する。これらのサイトカインは産生されると即座に分泌され機能することができる。一方で,IL-1ファミリーに属する炎症性サイトカインIL-18やIL-1βは上記サイトカインと同様に感染防御において重要であるが,その産生機序は上記のものとは異なっている。IL-18やIL-1βは細胞外分泌のためのリーダー配列を欠いており,さらに細胞質内ではサイトカインとして機能しない前駆体として産生・貯蔵される。サイトカインとして機能するためには,この細胞質内の前駆体がシステインプロテアーゼの一種caspase-1により切断される過程が必要である。このcaspase-1は通常,細胞質内で不活性型の状態にあり,その活性化誘導にはインフラマソームというタンパク質複合体が必要である。このインフラマソーム形成には細胞質内に局在するNLRなどのパターン認識受容体が必須である。近年の研究により,これらの受容体が細胞質内のリガンドを認識し複合体形成を誘導する分子機序が明らかにされつつある1-3)(図1)。
Copyright © 2011, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.