連載 腎臓学100年史
第8回 糖尿病関連腎臓病:インスリンと糖尿病治療薬
猪阪 善隆
1
ISAKA Yoshitaka
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
pp.700-702
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002235
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はじめに
1920年10月末,カナダで開業していた外科医Bantingは,膵臓の内分泌液を単離するというアイデアを思いつき,翌週には著名な科学者Macleodと研究計画を相談し,1921年8月には,Bantingと助手Bestはイヌの膵臓から有効な抽出物を調製している。1922年には生化学者Collipが純度の高いインスリンを単離し,1型糖尿病(diabetes mellitus:DM)患者に投与されたインスリンは,その致死的経過を劇的に改善させた。この成果により,1923年,BantingとMacleodはノーベル生理学・医学賞を受賞した1)。このインスリンの抽出は,「慢性疾患としてのDM」という今日の医療を開いた画期的な発見である。

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