Japanese
English
特集 内因性調節因⼦と治療薬による体液量コントロール
トピックス
セリンプロテアーゼによるENaC活性化機序―尿蛋白中のセリンプロテアーゼは内因性の体液貯留因子となる
Mechanism of ENaC activation by serine proteases: serine proteases in urinary proteins as endogenous fluid retention factors
柿添 豊
1,2
KAKIZOE Yutaka
1,2
1熊本大学病院総合臨床研修センター
2熊本大学病院腎臓内科
キーワード:
ネフローゼ症候群
,
ENaC
,
セリンプロテアーゼ
,
プラスミン
,
Liddle's-like症候群
Keyword:
ネフローゼ症候群
,
ENaC
,
セリンプロテアーゼ
,
プラスミン
,
Liddle's-like症候群
pp.678-682
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002231
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
上皮型ナトリウム(Na)チャネル(epithelial sodium channel:ENaC)は,主に腎集合管に存在し,糸球体で濾過されたNaの0~3%程度の再吸収を担っており,その活性は,主にアルドステロンにより厳密にコントロールされている。1997年に,ENaCがセリンプロテアーゼ(serine protease:SP)により活性化されることが報告されて以来,その活性化機序と各種病態への関係性が研究されてきた。当教室の検討により,アルドステロンによるENaCの活性化にSP・プロスタシンが重要な役割を果たすことが明らかとなった。さらに,ネフローゼ症候群のように高度蛋白尿を呈する状態では,血液中のSPが糸球体から漏出し,集合管でアルドステロン作用と独立してENaCを活性化することが報告されている。本稿では,ネフローゼ症候群におけるNa貯留に対するSP-ENaCの系が果たす役割と,この系を標的とした新たな体液コントロール・降圧療法の可能性について概説する。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

