巻頭言
夏の終わりに
岩田 恭宜
1
1金沢大学腎臓・リウマチ膠原病内科学
pp.589-590
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002212
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今年の夏も日本では,酷暑,水害に見舞われました。連日熱中症警戒アラートが発出され,記録的少雨による水不足も深刻化していました。一方,各地で線状降水帯が発生し,私の住む金沢市でも,一晩に8月の平均降水量の1.8倍の雨が降り,観測史上最大を記録しました。土砂災害,浸水被害に見舞われた方も多くおられ,心よりお見舞い申し上げます。私が子どものころに住んでいた,古い日本家屋には,庭に面して小さな縁側がありました。夏でも日陰になるころを見計らって,縁側の戸を開けておくと,涼しい風が室内に吹き込んできたことを思い出します。当時も,夕立ちが降ることはありましたが,昨今のようなバケツをひっくり返したような雨が,長時間にわたって降ることはなかったように思います。あのころは,夏が終わり,涼しい季節を迎えると,何となく物悲しい気持ちになりましたが,ここ数年は,ようやく夏が終わった,とほっと安心してしまいます。この先,気温はどこまで上がるのだろうか,いつかは,夏にこれまでどおりの生活を送ることができなくなるのではないだろうか,と漠然とした不安に駆られます。
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