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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
酵素活性に影響する薬物
プロテアーゼ
Protease
川島 誠一
1
Seiichi Kawashima
1
1東京都老人総合研究所酵素生化学部門
pp.488-490
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900266
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「概説」
プロテアーゼはタンパク質のペプチド結合を加水分解的に切断する酵素である。基質特異性・活性中心・切断様式・生体内局在などにより分類される種々のプロテアーゼが存在する。また,単にタンパク質を分解する代謝的機能を有するのみでなく,種々の活性タンパク質を切断してその機能を調節するモジュレーターでもある1)。さらに,基質側のタンパク質も数多く存在するため,実際に生体内でどのプロテアーゼがどのタンパク質を基質として切断しどのような変化を細胞にもたらしているかを結論することは,非常に困難である。このような場合,各プロテアーゼに特異的な阻害剤は有力な武器となる。
生体内には,プロテアーゼの暴走を防ぐため,内在性阻害タンパク質(プロテアーゼインヒビター)が共存する2)。しかし,その高分子性のため,実験系への応用は限られている。そこで種々の低分子プロテアーゼ阻害剤が開発されてきた。現在も,より特異性の高い阻害剤を求めて研究が行われている段階であるが,表1に現在知られている代表的なプロテアーゼ阻害剤につきまとめた3)。プロテアーゼは,その活性中心アミノ酸残基により,セリンプロテアーゼ・システインプロテアーゼ・アスパルチックプロテアーゼ・メタロプロテアーゼに分類される。したがって,これらの活性中心との反応性がプロテアーゼ阻害剤の特異性および阻害の強さと関係してくる。
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