特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべてコラム
眼科研究こぼれ話
細菌プロテアーゼの魅力
松本 光希
1
1NTT西日本九州病院
pp.103
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102005
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30年ほど前,熊本大学眼科でセラチアによる角膜潰瘍が多発しました。私が熊本大学眼科に入局(昭和53年)する少し前の話です。セラチアはグラム陰性(桿菌)の日和見感染菌ですが,多剤耐性であることや消毒薬に抵抗性を示すため,院内感染を起こすことで注目されています。眼科領域ではコンタクトレンズ関連角膜炎をはじめとする角膜炎を惹起します。
当時の鎌田龍二先生は多様な病態を示すセラチア性角膜潰瘍に興味を示され,セラチアによる角膜炎の病態解明のプロジェクトが立ち上がりました。メンバーは当時の岡村良一眼科教授,鎌田先生,微生物学教室の前田浩 助教授であり,セラチア性角膜潰瘍病変にプロテアーゼが関与しているのではないかとのことで,セアチアのプロテアーゼを精製してみようということになりました。しかし,鎌田先生はすでに開業しておられ,診療の合間の実験のため,研究の進展に支障をきたしていました。そこで,そのとき大学院進学を希望していた私がそれを引き継ぐ形で研究をスタートすることになりました。
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