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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
61.疼痛:非麻酔性鎮痛薬;オピオイド(鎮痛薬)
Narcotic analgesics:Opioids
竹内 裕紀
1
Takeuchi Hironori
1
1東京医科大学病院薬剤部
キーワード:
オピオイド
,
緩和ケア
,
麻薬
,
CKM
,
CKD
Keyword:
オピオイド
,
緩和ケア
,
麻薬
,
CKM
,
CKD
pp.454-461
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002179
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1 はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者では一般人口よりも痛みの頻度が高く,透析患者の60%以上が中等度または重度の慢性疼痛を訴えているとすることが報告されている1)。CKD患者に共通する侵害受容性疼痛の原因として,変形性関節症,腎性骨異栄養症,透析関連アミロイド関節症,常染色体優性多発性囊胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)による腎臓または肝臓被膜の膨張などがある。これらの痛みに対して,CKD患者では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のかわりにアセトアミノフェンが多く使用されるが,効果がない場合には適応症に応じてオピオイドも使用される。オピオイドとは,中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体に結合し,鎮痛作用などモルヒネに類似した作用を示す物質の総称である。オピオイドは主に,がん性疼痛に使用され,がん患者の苦痛の予防・緩和に必要不可欠な薬である。がん性疼痛以外の痛み(非がん性慢性疼痛)に対しても使用されるが,その保険適用は2025年7月現在,限られている(表)。CKD患者では,がんを併存している患者で使用される場合が多いが,それ以外では透析患者などの慢性疼痛に使用される場合がある。さらに,昨今では末期腎不全に至っても透析療法を導入しない,または透析を中止することを選択した患者(透析の開始または継続の見合わせ)に対する保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)における緩和ケア薬物療法として2),使用頻度がいっそう高まると考えられる。

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