特集 高齢者と薬
解熱・鎮痛薬
伊藤 澄信
1
1順天堂大学医学部大学院医学研究科臨床薬理学/総合診療科/順天堂医院薬剤部
キーワード:
解熱・鎮痛薬
,
非ステロイド性抗炎症薬
,
片頭痛治療薬
,
麻薬
Keyword:
解熱・鎮痛薬
,
非ステロイド性抗炎症薬
,
片頭痛治療薬
,
麻薬
pp.927-931
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100730
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高齢者では加齢に伴って腎機能が低下し,若年者に比べると半分以下にまで低下するが,BUN,クレアチニンなどの生化学検査値ではわからないことも多い.肝臓の解毒能力は,腎機能に比べると加齢による低下は少ないが,それでも年齢とともに低下する.鎮痛薬の多くは肝臓で代謝されるため,薬剤の代謝・排泄への年齢に伴う影響は大きくはない.しかし,解熱・鎮痛薬の代表であるインドメタシンは10~20%が未変化体で尿から排泄されるので,腎機能が全く関係ないわけではない.また,NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs : 非ステロイド性抗炎症薬)などは腎のプロスタグランジン(PG)合成を阻害し,腎機能障害を惹起することがある.
高齢になるほど疾病をもつことが多いため,多剤服用となりやすく,剤数が多くなるほど有害事象の頻度は高くなる.5種類までだと数%以内だが,16種類を超えると有害事象の発現率は50%を超えるという古典的なデータがある1).
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