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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第1章 腎疾患患者への薬の使い方
4.成人発症ネフローゼ症候群:リツキシマブ
Treatment of adult-onset nephrotic syndrome with rituximab
唐澤 一徳
1
,
中谷 裕子
1
,
三浦 朗子
1
,
雨宮 伸幸
2
,
秋山 健一
6
,
森山 能仁
4
,
武井 卓
3
,
新田 孝作
5
Karasawa Kazunori
1
,
Nakaya Yuko
1
,
Miura Saeko
1
,
Amemiya Nobuyuki
2
,
Akiyama Kenichi
6
,
Moriyama Takahito
4
,
Takei Takashi
3
,
Nitta Kosaku
5
1TMGあさか医療センター腎臓内科
2済生会加須病院腎臓内科
3東京都健康長寿医療センター腎臓内科
4東京医科大学腎臓内科
5東京女子医科大学腎臓内科
6東北医科薬科大学腎臓内科
キーワード:
微小変化型ネフローゼ症候群
,
成人
,
リツキシマブ
Keyword:
微小変化型ネフローゼ症候群
,
成人
,
リツキシマブ
pp.39-44
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002102
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1 はじめに
微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change nephrotic syndrome:MCNS)は,日本における成人の原発性ネフローゼ症候群の全症例の10~15%程度を占め,大半の症例は成人発症であっても特発性に分類されるものであり,成人の基礎疾患との直接的な関連はないとされている。MCNSの治療としては副腎皮質ステロイド薬(ス薬)が1950年代から使用されてきたが,大部分で治療反応性や長期予後の点において概ね良好である疾患として知られている一方で,MCNS患者の最大50%が頻回な再発を示し,一部ではス薬依存性,ス薬抵抗性のいわゆる難治性ネフローゼ症候群に至り免疫抑制薬による追加治療が必要となる1)。ス薬以外としては,1995年に代謝拮抗薬であるミゾリビンが,1996年にはカルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor:CNI)のシクロスポリンが,2011年にはアルキル化薬のシクロホスファミドがそれぞれ保険適用となったが,CNIの腎毒性や,出血性膀胱炎や発癌性,性腺機能障害など副作用などで使用しにくい面も持ち合わせていた。近年,代謝拮抗薬であるミコフェノール酸モフェチルやCD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(rituximab:RTX)の使用報告が増えてきており,難治性ネフローゼ症候群に対する新たな治療薬として注目されており,その使用経験が蓄積されつつある。特にRTXは2014年に頻回再発型またはステロイド依存性の難治性ネフローゼ症候群に対して,2024年にステロイド抵抗性の難治性ネフローゼ症候群に対して,それぞれ保険承認されるに至った。

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