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特集 腎性貧血の最新動向―2025年版CKD患者における腎性貧血治療ガイドラインの要点と実践
総論
CKD患者の貧血に影響する因子 カルニチン
Carnitine and anemia in chronic kidney disease
正木 崇生
1
,
尾﨑 陽介
1
MASAKI Takao
1
,
OSAKI Yosuke
1
1広島大学病院腎臓内科
キーワード:
カルニチン
,
長鎖脂肪酸代謝
,
ESA低反応性貧血
Keyword:
カルニチン
,
長鎖脂肪酸代謝
,
ESA低反応性貧血
pp.314-317
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002020
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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に伴う重大な合併症の1つとして,貧血が挙げられる。CKDにおける貧血の原因は,腎機能低下に伴うエリスロポエチン産生の低下,赤血球造血刺激因子(erythropoiesis stimulating agents:ESA)低反応性,鉄欠乏や慢性炎症など多岐にわたるが,カルニチン欠乏もその1つである。貧血は心血管系イベントや,生存率にもかかわる重要な因子であり,その適切な管理はCKD診療において必須である。わが国では腎性貧血に対する治療薬として,1999年にESA製剤,2019年には低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(hypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase:HIF-PH)阻害薬が登場し,貧血の改善に伴う予後の改善や心不全の減少などにつながっている。しかし,一部の患者では貧血のコントロールが困難であり,そのような患者において,カルニチン欠乏の解消が貧血改善につながるとの報告もある。そこで本稿では,カルニチンに着目し,その生理機能や貧血との関連について述べる。

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