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特集 IgA腎症のすべて―最新の診断法と治療
病理・予後予測
口蓋扁桃と糸球体の病理相関―細胞性免疫の関与と扁桃摘出の理論的根拠
Tonsillar glomerular axis―involvement of cellular immunity and rationale for tonsillectomy
城 謙輔
1
,
堀田 修
2
JOH Kensuke
1
,
HOTTA Osamu
2
1東京慈恵会医科大学病理学講座
2堀田修クリニック
キーワード:
IgA腎症
,
口蓋扁桃
,
糸球体
,
細胞性免疫
Keyword:
IgA腎症
,
口蓋扁桃
,
糸球体
,
細胞性免疫
pp.179-187
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001989
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はじめに
IgA腎症に対する扁桃摘出ステロイドパルス療法(steroid pulse therapy:SPT)は,同治療を創案したHottaらによる2001年の報告以来1),長い道のりを経て,ようやく日本国内に定着した感がある。報告によると2004年から2008年の間に,188病院中137病院(72.9%)がすでにSPTを併用した扁桃摘出術(扁摘SPT)を開始している2)。近年では,扁摘SPTはさらに一般化され,IgA腎症に有効な治療法としてのエヴィデンスを示す臨床研究が世界に発信されている3,4)。わが国は,扁摘SPTが独自に開発され,その治療効果が認識されて全国に普及している唯一の国である。しかし,その機序を説明する基礎的研究は少ない。筆者らは,当時,世界に先駆けて扁摘SPTが行われていたJCHO仙台病院(旧仙台社会保険病院)で集積された扁桃材料に着目し,病理形態学的立場から,扁摘SPTの有効性を立証する目的で研究を行い,その成果を報告した5)。また,その部分的な追試研究も報告した6)。そのなかでは,「IgA腎症の進行を遅らせる」治療から「IgA腎症を寛解させる」治療への転換に関する理論的根拠が示されている。

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