シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・22
扁桃の炎症と免疫反応
藤枝 重治
1
Shigeharu FUJIEDA
1
1福井医科大学耳鼻咽喉科学講座
キーワード:
扁桃
,
病巣感染症
,
IgA腎症
,
免疫グロブリン
Keyword:
扁桃
,
病巣感染症
,
IgA腎症
,
免疫グロブリン
pp.1145-1153
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905207
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扁桃とは?
扁桃には口蓋扁桃,咽頭扁桃,舌扁桃,耳管扁桃があり,咽頭側索を含めてワルダイエル咽頭輪と呼ばれるリンパ組織を形成している.一般に言われている「扁桃腺」は,口蓋扁桃のことであり,正式には腺を付けて呼ぶことは誤りである.ここでは,口蓋扁桃を扁桃として述べていく.
図1に,扁桃を中心としたワルダイエル咽頭輪を示す.扁桃は,気道と消化管に存在するmucosa-associated lymphoid tissue (MALT)の中心的な役割を果たしている.経鼻的にもしくは経口的に進入した細菌やウイルスなどを外敵として認識し,排除する第一線の防御機構である.新生児期の扁桃は極めて小さく,陰窩の発育は乏しい.陰窩とは,扁桃の上皮が樹枝状に発育したもので,このため扁桃は極めて広い表面をもつことになる.組織的にも二次リンパ濾胞はほとんど認められない.生後半年から1年ぐらいで成人の扁桃とほぼ同様の形態を示し,徐々に肥大する.7歳から8歳頃に扁桃は人生最人の大きさになり,その後加齢とともに縮小していく.扁桃は大量のリンパ組織を含み,多数の胚中心を持っている.胚中心はリンパ球の層に包まれており,ここでB細胞は抗体産生を開始したり,抗体産生における記憶の発生,B細胞の活発な増殖が起こっている.
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