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グラフ 臨床医のための電顕写真
糸球体・3
メサンギウム
Mesangium
坂口 弘
1
Hiroshi Sakaguchi
1
1慶応義塾大学医学部・病理学
pp.436-439
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218192
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糸球体のメサンギウム(mesangium)という用語は,Zimmerman(1933)が言い出したものである.図1のように糸球体の毛細血管の間にある組織をこのように呼んだ.腸間膜すなわち腸間の間膜(mesoenterium)をmesenteriumというのと同じ式で,血管の間膜(mesoangium)すなわちmesangiumがその語源である(図2).糸球体の毛細血管は腸管のように1本の管ではなく,各所で吻合した洞(sinus)状になっているのであるが,それを支えている組織がmesangiumで,血管極から糸球体の末梢まで樹枝状につながっている.もう一度腸管と比較してみれば,糸球体の外側を被っている基底膜,上皮細胞は腹膜に相当するであろう.
メサンギウムはメサンギウム基質(Mm)とそれの中に埋まっているメサンギウム細胞(Mc)よりなっている.メサンギウム細胞は図3のような複雑な細胞突起を出しており,突起の断面が基質の中に島状にみられる.基質は基底膜と同じdensityで,どこまでが基底膜でどこからメサンギウム基質かわからないが,図4のように少しdensityの高い物質がメサンギウム基質に沈着すると(これをdepositという.図は紫斑病性腎炎のものである),メサンギウムの部も毛細血管の部と同じ厚さの基底膜で被われていることがわかる.
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