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特集 IgA腎症―最新の知見
【進展・増悪にかかわる因子】
メサンギウム細胞増殖・基質増加
Mesangial cell proliferation and extracellular matrix synthesis
菊池 正雄
1
,
藤元 昭一
1
KIKUCHI Masao
1
,
FUJIMOTO Shouichi
1
1宮崎大学医学部附属病院 腎臓内科
キーワード:
IgA腎症
,
メサンギウム細胞増殖
,
メサンギウム基質増加
Keyword:
IgA腎症
,
メサンギウム細胞増殖
,
メサンギウム基質増加
pp.979-981
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000197
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はじめに
IgA腎症はメサンギウム領域を主体としたIgAの沈着を認める腎炎である。1968年にBergerらによって報告された際にはa kidney disease with glomerular “intercapillary deposits of IgA-IgG” と表現された1)。その後の臨床や基礎分野での研究によって得られた知見から,IgA腎症は自己免疫疾患であり,腎臓は循環血液中に生じたIgA1-IgG免疫複合体が沈着することで障害を被る “innocent bystanders” と考えられている。IgA腎症の進展において,multi-hit仮説では4つの段階が提唱されている2)。すなわちIgA腎症の患者では「ガラクトースが欠損したO結合型糖鎖をもつ糖鎖異常IgA1(galactose-deficient IgA1:Gd-IgA1)」が増加しており,それに対する特異的IgG抗体が産生され,結果として循環血液中に形成された免疫複合体が糸球体に沈着し,メサンギウム細胞を活性化して腎臓の組織障害をもたらす。IgA腎症の光学顕微鏡所見としてはメサンギウム細胞の増殖とメサンギウム基質の増加が主体ではあるが,透析導入と独立した有意な関連性を示さなかったため,日本で汎用されている『IgA腎症診療指針―第3版―』3)における組織学的重症度分類(H-Grade)にはメサンギウム細胞増多の程度は含まれていない。
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